破砕熱とは、粉砕に投入した機械的エネルギーの多くが摩擦・衝撃・せん断によって熱エネルギーに変換され、原料や媒体、粉砕筒に蓄積される現象を指します。振動ミルは高いエネルギー密度で短時間に粉砕できる反面、運転条件によって温度上昇が大きくなりやすい特徴を持っています(乾式>湿式の傾向があります)。
破砕熱は次の式で見積もることができます。
ΔT ≒ (P·η·t) / (m·Cp)
(P:ミル消費電力、η:熱として蓄積される割合、t:運転時間、m:総質量、Cp:平均比熱)
例えば、P=2 kW、η=0.7、t=300 s、m=50 kg、Cp=1.0 kJ/kg·K の場合、ΔT≒8.4 ℃となります。
振動ミルは高エネルギー密度ゆえに発熱しやすいため、振幅や周波数、媒体径、充填率を低めに設定することが効果的です。衝突エネルギーが抑えられることで温度上昇を防ぎつつ、粒度分布も安定させることができます。
一度に微粉化を狙うと系内の温度が急激に上がるため、粗粉砕と仕上げ粉砕を段階的に分けることが推奨されます。各段階で投入するエネルギーを小さくすれば、トータルでの発熱量を抑えやすくなります。
連続運転では粉砕筒内に熱がこもりやすいため、一定時間ごとに停止して放熱する間欠運転が有効です。また原料を一度に投入せず小分けにすることで、局所的な温度上昇を防ぎやすくなります。
粉砕筒の外周にジャケットを設け、冷水やブラインを循環させる方法です。最も一般的な手段であり、長時間の連続運転でも安定した温度管理が可能になります。
湿式運転ではスラリーを外部に循環させて熱交換器を通し、PID制御で出口温度を一定に保ちます。これにより再凝集や粘度上昇を防ぎ、安定した微粉化を実現できます。
酸化しやすい原料や金属粉を扱う場合には、粉砕筒内を窒素雰囲気に置き換える方法が有効です。酸化防止や粉じん爆発対策となるほか、湿気の侵入も抑えられます。
高分子や食品のように熱に弱い原料では、液体窒素を用いた低温粉砕が適しています。原料をガラス転移温度以下まで冷却して脆化させることで効率よく微粉化できますが、着霜や結露を防ぐために乾燥雰囲気の確保が欠かせません。
| 項目 | バッチ式 | 連続式 |
|---|---|---|
| 温度挙動 | 時間とともに温度が上昇しやすい | 定常運転で出口温度を一定に制御可能 |
| 冷却手段 | ジャケット冷却+間欠運転 | ジャケット+循環冷却+PID制御 |
| 粒度到達 | 微細化しやすいが再凝集のリスクあり | 滞留時間が短く再循環を併用する場合あり |
| スケールアップ | ロット間の再現性が課題 | 流量で調整しやすく再現性が高い |
粉砕機を選定する際には、まず冷却ジャケットの面積が十分に確保されているかを確認する必要があります。冷媒の流量上限が大きいほど効率的に熱を逃がせるため、連続運転時でも安定した温度管理が可能になります。
筒壁や吐出口に温度センサーが設置されているか、さらにデータを記録して異常時には自動停止できる仕組みがあるかをチェックすることが重要です。温度管理の精度が高いほど品質の安定性や安全性が向上します。
振幅や周波数、媒体径といった運転条件を細かく調整できるかどうかも選定ポイントです。条件を自由に設定できれば、原料ごとに最適な粉砕環境を作りやすくなり、発熱リスクの低減にもつながります。
粉砕筒やライニングの材質は、熱伝導性や耐摩耗性、さらに金属コンタミの防止性能に大きく関わります。ステンレスやセラミックスなど、対象原料や品質要求に合った材質を選ぶことが不可欠です。
酸化や湿気による品質変化を防ぐためには、粉砕筒の密閉性や窒素パージ機能が備わっているかを確認する必要があります。特に金属粉や有機原料の処理では、雰囲気制御が安全性と品質保持の鍵を握ります。
| 素材 | 推奨冷却方式 | 注意点 |
|---|---|---|
| 高分子・エラストマー | 液体窒素で低温粉砕 | 着霜・結露防止が必要です |
| 食品・有機物 | ジャケット+湿式冷却 | 変色や香気の損失に注意してください |
| 金属粉 | 乾式+窒素パージ | 粉じん爆発対策が必要です |
| セラミックス | 湿式循環冷却 | 再凝集やスラリー粘度の急上昇に注意してください |
| 医薬品・ファインケミカル | 湿式+熱交換器 | 結晶多形や品質変化に注意してください |
本格的な運転条件を決定する前に、バッチ式と連続式の両方で粉砕を行い、発熱挙動を比較しておくことが大切です。同じ比エネルギー条件でも温度上昇の仕方に差が出るため、実際の用途に合う方式を見極めることができます。
テストの際には出口温度だけでなく、粒度分布やスラリー粘度も同時に記録することが重要です。これらのデータを揃えることで、温度上昇が粉砕効率や粒子の凝集にどのような影響を与えるかを定量的に把握できます。
発熱による品質変化を把握するためには、DSC(示差走査熱量測定)や色差測定といった品質指標を温度履歴と照合する方法が有効です。これにより外観や結晶多形の変化など、見落としがちな影響を把握することができます。
最後に、振幅や周波数、媒体径や充填率、さらには流量や休止比といった運転パラメータを変化させ、最適条件を検証します。サンプルテストの段階で条件を洗い出しておくことで、量産時の発熱リスクを大幅に低減できます。
振動乾燥機の製造で名を馳せる中央化工機社の振動ミルは、
ボールミルの10〜20倍の粉砕能力を持ち、エネルギー効率が高いため、短い時間での廃棄物の粉砕が可能です。
このFV型振動ミルは投入設備、排出設備をフレキシブルチューブで繋ぐことで全自動化も可能なため、粉塵の管理には理想的と言えます。
破砕熱は粉砕工程で必然的に発生するエネルギー散逸であり、振動ミルのような高エネルギー型装置では特に注意が必要です。低エネルギー運転や冷却設備の併用により発熱を抑制し、品質劣化や再凝集を回避することができます。
バッチ式は粒度を詰めやすい一方で熱蓄積が大きく、連続式は温度制御の安定性に優れるなど、それぞれ特性が異なります。粉砕機を選定する際は冷却機能や材質、制御性を確認し、実際にサンプルテストを通じて発熱リスクと品質への影響を事前に把握することが重要です。
1961年に国内初となる振動ミルを発表。以来、振動エネルギーを活用した粉砕機・乾燥機の業界を牽引してきました。
設計段階から完全オーダーメイドで行い、その後の製作、試験、配線・配管などの据付施工までワンストップで対応しています。