プラスチック粉砕機における「融着(融着・凝集)」は、粉砕熱によって樹脂が軟化・溶融し、刃やケーシング内部に張り付く現象です。特にPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ナイロン)、PLA(ポリ乳酸)などの熱に敏感な樹脂では深刻な問題となり、生産効率の著しい低下や機械故障の原因となります。また、トナー製造現場でも同様の融着トラブルが頻発しています。本記事では、融着が発生するメカニズムと、現場で実践できる対策方法を具体的な事例とともに詳しく解説します。
粉砕機に投入された電気エネルギーの90%以上は、摩擦、衝撃、振動によって熱エネルギーに変換されます。この粉砕熱が逃げ場を失って蓄積すると、樹脂の軟化点を超えて融着が発生します。
融着を放置すると、以下のような深刻な問題が発生します。
発生状況:トナー(磁性粉を含まない2成分系)の粉砕・分級工程において、粉砕機・分級機内で融着が発生し、運転が困難に。
原因:
対策:冷風装置の定期メンテナンス体制を確立し、温度監視システムを導入。異物混入防止のためのインラインマグネット・シフターを設置。
発生状況:PP樹脂の粉砕中、刃の表面に溶融した樹脂が層状に堆積し、粉砕効率が急激に低下。
原因:
対策:原料の乾燥処理を徹底。刃の交換サイクルを見直し、定期メンテナンスを実施。
新規設備投資の前に、まずは運用面での改善から始めることをお勧めします。
粉砕前に原料を十分に乾燥させることで、機内の蒸れと摩擦抵抗を減らせます。水分を含んだ原料は、粉砕機内で蒸気を発生させ、摩擦熱をさらに増幅させる悪循環を生みます。
推奨される乾燥条件:
実例:ある食品機械メーカーでは、PA樹脂部品の粉砕において、乾燥工程を省略した結果、機内で蒸れが発生し、粉砕機の刃とケーシングに融着が発生。乾燥機を導入し、水分管理を徹底したところ、融着トラブルがほぼゼロになった。
粉砕機の処理能力を超えない範囲で、一定速度での投入を心がけてください。原料の滞留時間を短くすることで、熱にさらされる時間を最小限に抑えられます。
投入量の目安:
過粉砕の回避:必要以上に細かくしすぎる「過粉砕」は、滞留時間の延長と摩擦熱の増大を招きます。目標粒度を明確にし、それ以上の粉砕は避けてください。たとえば、100メッシュパス(150μm以下)が目標であれば、80メッシュパス(180μm以下)程度で粉砕を止め、分級機で調整する方が熱対策として有効です。
切れ味の悪い刃は摩擦熱を大幅に増やします。定期的な交換または研磨によって、効率的な粉砕と発熱抑制の両立が可能です。
集塵機の吸引力を上げて通気量を増やすことで、発生した熱を空気とともに排出できます。これは最も手軽で即効性のある対策の一つです。
運用改善だけでは融着が解消しない場合、冷却機能を備えた専用機の導入を検討します。
粉砕ロータ内部に冷却水を循環させるタイプです。粉砕部を直接冷却できるため、高い効果が期待できます。代表機種としてはホソカワミクロンの「グラシス GC」などがあります。
回転ディスクに冷媒を通水する構造で、連続運転時の温度管理に優れています。ターボディスクミルなどが該当します。
冷却水を循環させて効率的に熱を除去するチラーを併用することで、冷却効果をさらに高められます。特に連続運転や大量処理の現場で有効です。
粉砕機本体が二重構造になっており、外壁に冷却水を流すタイプです。内部冷却と組み合わせることで、より高度な温度管理が実現します。
常温では融着しやすい強熱性樹脂に対して、液体窒素を使った極低温粉砕が有効です。
マイナス196℃の液体窒素で樹脂を凍結させ、硬く脆い状態にしてから粉砕します。軟化する温度帯を完全に回避できるため、融着を根本的に防止できます。
ゴム状樹脂、エラストマー、低融点樹脂など、常温粉砕が困難な材料に特に効果的です。非常に微細なパウダーの製造も可能になります。
融点が比較的低く、軟化しやすい樹脂です。機内温度を軟化開始温度より10℃以上低く保つことが基本です。冷却機能の活用と、過度な微粉化を避けることが重要です。
吸湿性が高く、水分を含むと摩擦熱が増大します。粉砕前の十分な乾燥処理が必須です。冷風の導入も効果的です。
生分解性樹脂で熱に敏感です。低温での粉砕と、滞留時間の短縮が重要です。場合によっては凍結粉砕も検討してください。
粉砕機の融着トラブルは、適切な対策によって確実に防止できます。まずは以下のステップで取り組んでください。
樹脂の特性に合わせた適切な温度管理と、段階的な対策実施が、融着トラブルのない安定稼働への鍵となります。
1961年に国内初となる振動ミルを発表。以来、振動エネルギーを活用した粉砕機・乾燥機の業界を牽引してきました。
設計段階から完全オーダーメイドで行い、その後の製作、試験、配線・配管などの据付施工までワンストップで対応しています。